

やすい・けんたろう:ジャニーズJr.

1991年7⽉21⽇⽣まれ、神奈川県出⾝/⾝⻑168cm
主な出演映画:「劇場版BAD BOYS J -最後に守るもの-」(13年)、「ホーンテッド・キャンパス」(16年)
本作「ニート・ニート・ニート」が3本⽬にして初主演作。毎週⼟曜、NHKラジオ第1「らじらー! サタデー」に出演中。
ふじもと・たかひろ
1970年7⽉21⽇⽣まれ、福岡県出⾝。
競泳選⼿として五輪などで世界的な⼤会で活躍し、200m、400mで⽇本記録を樹⽴後、俳優に転⾝。舞台を中⼼に、ドラマ、バラエティー、ライブなど幅広く活躍中。NHK⼤河ドラマ「⻄郷どん」では⼭岡鉄⾈役で出演。主な出演映画:「男たちの⼤和/YAMATO」(05年)
いしの・まこ
⽇本テレビ系オーディション番組「スター誕⽣!」に合格し、78年「狼なんか怖くない」で歌⼿デビュー。その年の新⼈賞を総なめにする。以後、トップアイドルとしてヒットを連発。その後、⼥優としてもテレビドラマや舞台、映画で活躍。03年より本格的に⾳楽活動を再開、コンサートも精⼒的に⾏なっている。これまでにシングル28枚、オリジナルアルバム14枚をリリース。
メグミ
1981年9⽉25⽇⽣まれ、岡⼭県出⾝。
ドラマ、舞台で活躍中。
主な出演映画:「巫⼥っちゃけん。」(18年)、「孤狼の⾎」(18年)
タカシのことは〝バランサー〟だと思って演じていました。レンチとキノブーという陰・陽くっきり違う2⼈の間に⼊ることが多かったので、どちらかに少し寄るだけで どちらかの個性を消してしまうことになると思い、常に距離感を保つようにしていたんです。そんなところが、タカシの現代⼈っぽいイマドキ感につながっていると思います。 監督からは「⼈と話すときのテンポを変えてほしい」と⾔われていて、テンポ1つ遅らせて、考えているかのような間(ま)をおいて話すようにしていました。 でも、実際は相⼿の次のセリフを知っているから早く応えたい気になってしまい、なんだか居⼼地の悪い間でしたね(笑)。 北海道に⾏くことによってタカシがどう変わっていくのかを、⼀つ⼀つの感情を⼤事にして演じていました。
アイドル2⼈との共演はどうでした?とよく聞かれますが、僕は2⼈をアイドルではなく役者の2⼈として考えて接していたので、特に緊張ややりづらさみたいなものはなかったですよ。森⽥くんは現場にいる間じゅうキノブーでいたなあ、という印象(笑)。ただ、ロケが終わった後⽇にコンサートを⾒たんですが、2⼈ともしっかりアイドルで、「全然違う!」と驚きました(笑)。3ニート役3⼈のキャラや関係性は、撮影前に会ったときから「役そのまま!」にナチュラルに出来上がっていたのですが、ロケが東京を脱して北海道に移動したあとにまた変化。あの開放感のためか、〝北海道に⾏ったからこそ〟出せた3⼈の状態というのがあり、だからこそ出来た芝居、というのがあるんです。ぜひそこを⾒て欲しいと思います。
東京など関東近郊では絶対に撮れない、北海道だからこその絵がたくさん撮れました。北海道は…ご飯が美味い!(笑)。僕もそうですが、みんな毎⽇もりもり⾷べていました。安井くんなどは、お気に⼊りになった⽜乳の200mlパックを1⽇にいくつも飲んでいました(笑)。安井くん、森⽥くんとは「お⾵呂好き」で意気投合したので、撮影が終わると地元の銭湯へ⾏ったのもいい思い出です。
バカな男たちががちゃがちゃやってる話…をやってみたかったので楽しかった。北海道を旅しながら3ニートが少し変化するように、ボク⾃⾝もこの映画を通して⼀緒に成⻑できたかな、と思います。
キノブーは、(引きこもってはいたけれど)精神的に⾃⽴していて、頭が良くて、しっかり⽣きていける⼈間だと捉えて演じていました。⼈と接するときの声⾊や姿勢や表情は想像で演じた部分が多かったですが、気持ちの部分は、⾃分の経験や思っていることから引っ張り出して演じました。物語内ではキノブーは正反対のレンチに惹かれる部分があり、どうしても意識してしまう。連れ出されたときには、うれしかったはずです。 レンチへの想いとか、⽉⼦のことをどこか気になっているとか、撮影中もいろんな感情についてすごい考えていて、確かめ確かめ演じていった感じです。その中で⽣まれる「これだと思うけど、どうだろう」 という感情を監督に⼀つ⼀つ伝えたくなって、ついつい1⼈じめしてしまい(笑)、みなさんに申し訳なかったと思っています……。
思い出ある場⾯は、3ニートが気持ちをぶつけ合うシーンです。あのときは「芝居」というより、レンチに対して込み上げてきた気持ちを、気持ちとしてそのまま正直にぶつけた、という感じでした。やろうと思ってしたのではなく。あと、⽉⼦に対するキノブーの変化も⾒てほしいと思います。キノブーは久々に接した⽣⾝の⼥性であろう彼⼥に最初は内⼼「うわあ!⼥の⼈だ!」と思っただろうし、事情を知るにつれシンパシーをもあったでしょう。
今回は、特殊メイクで肥満キャラに初挑戦! 衝撃的なビジュアルに注⽬してください。型取りも⼤変でしたし、メイク後も表情を作りづらくて⼤変でした…。
北海道は、衝撃的な⼤きさでした! 道路とか、アメリカっぽい広さ・⻑さで。ちょっと驚いたのは、北海道に着いてから、気持ちが「等⾝⼤」になったという思いが強くあったことです。キノブーとしてもそうですが、⾃分としても、なんというか、背伸びしていた気持ちが「戻った」と⾔いますか…。⼀番の思い出はゴジさんちでの(撮影に出た)ご飯(笑)! 特にシチューが、はんぱなく美味かったです。地元の皆さんもとても優しくて元気な⼈たちばかりで。北海道に(キャンペーンなどで)⾏けたら、早く会いたいなと思います。
等⾝⼤であれた分、「⾃分の今に嘘がない」映画を作れたと思っています。嘘ではない⾃分の姿を⾒てもらえるな、と。初めてのロードムービー。若い4⼈が、葛藤し悩む姿を、北海道の地で⼼を裸にしてぶつかりあって⼀⽣懸命に頑張って演じました。
⼀番おとなで、⼀番こども。そのチグハグさが、⽉⼦のヒミツを握る鍵だと思いました。ニート3⼈にとにかく興味がないですし、監督からは「もっと気だるそうに、もっと」とよく⾔われました(笑)。セリフが極端に少なく、想いを⾔葉以外で表現しなくてはいけないのに態度に出すこともなかなかしない…。⽉⼦の〝わかりづらさ〟に悩まされたのは、ニート達だけでなく私⾃⾝もでした。だから現場では、北海道の⼤⾃然や、4⼈でいることで⽣まれる空気感に⾝を任せながら〝⽉⼦でい続ける〟ことを実践しました。孤独でいるためロケ中わざとキャストやスタッフと距離を置いたのですが、3⼈はそれを察して、そのままを受け⽌めてくれました。相談など深い話になれば、芯の通った考え⽅を聞かせてくれて、本当に多くの場⾯で⽀えていただいたなと思います。印象深いのは、レンチとの駐⾞場シーン。「ここだけはヒロインっぽくていい」という監督の⾔葉もあり(笑)、⽉⼦のかたくなさが解けて、本来の⼥の⼦らしさが垣間⾒えるようにと演じました。
「⾒つめる」シーンが多くて、監督からよく⽬の指導が⼊りましたね。「何を込めるか」が難しかった。でも泣きのシーンでは、テストから本番まで本気で8回泣いて、共演のMEGUMIさんに「最初からスイッチ⼊れすぎだよ」と⾔われたり。藤本さんからも「滅多にいない本物だ」と褒め⾔葉をいただきました。
北海道は景⾊が素晴らしく、⾷べ物も美味しい! 朝⾷はいつも北海道の味覚満載な地元の⽅々の⼿料理をいただきました! 初めてなのにおふくろの味というか、新潟の祖⺟の⼿料理を思い出しましたね。札幌ロケでは1⼈でジンギスカンをしたり、地域で流⾏っていると聞いた「夜のしめパフェ」をスタッフさん達と堪能したのが思い出です。⼈が優しくて、応援の仕⽅がみなさん、親戚のおじさん・おばさんみたいに温かいのも印象的です。
成⻑=ハッピーエンド、だとわかりやすいですが、監督はそこに⾏きたくなかったとおっしゃっていました。やる気がないことを、夢がないことを、否定しない映画です。ロケ中は絶対に⾬といわれたのに晴れたり、無いと思ったものが現地で借りられたりと、奇跡が⽇々起きていました。なんだか、北海道が応援してくれた映画という気がします。
僕がこの作品を映画化したいと思ったきっかけは、原作の中にある、「いつか、なんとかしなきゃ。そう思いながら何となく⽣きてきた。でもその〝いつか〟なんて永遠にこない。誰かが扉を蹴破らないかぎり」という⼀節が、すごく⼼にフックしたからです。
狙ったのは、「北海道観光ムービー」ではなく、「アイドル映画」でもなく、「成⻑物語」でもない作品にすることです。北海道は魅⼒的な⼟地だけれど、映像に収めたかったのはカレンダーや絵葉書のような絵ではなく、⼈物それぞれがいま置かれている⼼の動きや⼼情に沿った背景。普通っぽく、本当の旅のようにリアリティーある絵作りができたと思います。また、「アイドル映画」にはなるのだろうけれど、少し俯瞰(ふかん)に⾒る⼤⼈の⽬線からの不思議な⻘春映画になっているかもしれない(笑)。迷っている渦中の若者が⾒ても感じるものがあり、年齢を重ねた⼤⼈は記憶をたどる、というような。
〝旅を通して成⻑する〟……というロードムービーの王道も、ちょっと外したかった。⼈は成⻑しようとして⽣きるものではないし、映画が説明や答えを必ずしも提⽰するものではないと思う。 映画を⾒た⼈が、「彼ら、ちょっと成⻑してるんじゃない?」と感じたり思ったりしてくれれば、それでいいと思っています。なんなら1ミリも成⻑しなくたっていい!(笑)。若い世代が⾒るから、彼らのためにちゃんと答えをだしてあげなきゃいけない、という考え⽅もあるけれど、「1回⾒てわかんないからまた⾒よう」とか、「数年後に⾒たらわかった」でもいいと思っています。タカシのモノローグに「成⻑しよう。けど、⼤⼈にはならないんだ」というのがありますが、これは原作にはない⾔葉。原作の三⽻省吾先⽣が、「名セリフじゃないか」と⾔ってくださったのが嬉しかったですね。
それぞれの役をつかみ、演じたのは役者たちの⼒です。僕は彼らに、辿りつくべき在り処の地図を渡し、ヒントを与えただけ。それぞれが⾃⾝と向き合って答えを⾒つけました。そうして⽣まれたキャラクターや演技を観客の皆さんが「いいね」と思ってもらえるなら、それはすべて彼らの功績。ファンの皆さんには、誇らしい気持ちで⾒てもらえたらと思います。
まさか⾃分が映画の主演をやれる⽇が来るなんて思っていなかったので、本当に驚きました。まず感じたのは、レンチはなんてずるいんだろ、ということ。でも、男だったら⼀度くらいは「あんなふうに⾃由に⽣きてみたい」と思うんじゃないかとも思いました。あそこまでひどくなくていいんですけど(笑)!、破天荒で、バカばっかりやって⾃分勝⼿なのに、なぜかみんなのヒーローでいられる。⾃分にはできないよねと普通は諦めてしまうような⽣き⽅です。監督に最初「レンチは“猫”だから」と⾔われて、「え、⼈なのに?」と⼼の中でツッこみつつ(笑)、⾃由で気まぐれで、時にキレたりするキャラクターを掴むのに、猫というイメージがとても分かりやすくしっくりきて、演じるにあたってありがたかったです。
⾔葉では何とも表せないレンチの憎めなさ、ある種の可愛らしさや魅⼒がどうやったら出るかと考えて、「笑顔」だな、と思いました。混じり気があったらヤな奴に⾒えるけど、100%の笑顔なら、つねに今の状況を100%楽しんでる男に⾒えるはず。セリフもそうです。クズいこと⾔ってるんだけど、レンチっぽさは、そこに卑屈さがなくてあっけらかんと⾔い放つところだと思ったんです。
レンチという役は、僕にとって新たな挑戦でした。僕はジャニーズJr.の活動でいつもいろんなことに挑戦していますが、それは応援してくださるファンの皆さんにどんどん新しいことを提供していきたいと思うから。今回はこの役にわくわくしてほしいし、挑戦したことを知ってほしいという気持ちが強くあります。
北海道は、その雄⼤な景⾊や⼤地にストレートに感動しました。「規模感」を感じたし、海の⾊や表情も北と南(宗⾕岬・襟裳岬)で全然違う! 空気がおいしい!⽜乳や⾷べ物も! 約1カ⽉いたので、⻑い旅⾏というか、旅⾏という⾮⽇常で気持ちがハイになる、毎⽇あれと近い感覚でした。レンチとしてもハイになっていたので、思った以上に殻を破れた気がしています。あと、地元の⼈たちがあんなに協⼒してくれるロケはないと思う。誕⽣⽇には、地元の⽅が今までの⾒た中で最⼤のバースデーケーキを⽤意してくれました!⼤感激です。皆さんとのふれあいがあったから、胆振東部地震のときは「他⼈事ではない」という感覚になっていました。
⾃信を持ってお届けできる映画にしたつもりです! 3ニートが劇的に成⻑したりはしないけれど、むしろそれがリアル。⾒た⼈の⼈⽣を変えるような映画ではないとしても、その⼈⽣を構成する礎の1個になれたらいいな…と思います。